子供はとにかくシールが大好きですよね。
あっちにもぺたぺた・・・・こっちにもぺたぺた・・・・
貼っちゃダメだと言っているのに、家具や壁にもペタペタペタペタ。
この「子供あるある」の代表格・無類のシール好きは、
モンテッソーリの「敏感期」という考え方で説明すると非常に合点がいくんですよ。
子供には、あることに異様に執着したり、夢中で同じことばかりを繰り返す時期があります。
モンテッソーリでは、これを「敏感期」と呼んでいます。
このような行動は、今まさに何かの能力を習得しようとしているときに現れます。
子供は「シールを貼る」という動作を行うことで、指先を器用にコントロールする技術を身に着けようとしているのです。
「そんなおおげさな(笑)」とお思いになるかもしれませんが、
シールを貼るためには、けっこう高度な動きをしているんですよ。
両手の指先・爪先をつかってシールを台紙から剥がして自分の指につける→
シールの粘着面を触っている指の位置を調整する→
シールの一部を目標の位置に押し付ける→
指をずらしてシール全体を紙におしつける
これらの一連の動作をスムーズに行うために、日夜もくもくと練習を繰り返しているのです。
また、「敏感期」は発達過程から生まれる衝動のようなものなので、
満足するまでは自分でそれをやめることができません。
ダメだと何度注意しても、小さなお子さんがあちこちにシールを貼ってしまうのはそういうわけなのです。
そこで、満足するまで存分にシールを貼っていいよ、と
壁のかわりにシール台紙を山ほど用意してあげるのがモンテッソーリ流です。
そうすると、指先を上手にコントロールしたいという欲求が満たされるので、貼ってはダメだと
言われた場所には貼らなくなります。
モンテッソーリ教育の用語のなかに「おしごと」という言葉があります。
これは、大人が毎日行うお仕事のことではなく、その子の現在の発達に合わせた今一番やりたい事を選んで主体的に取り組むことを「おしごとをする」と呼んでいます。
ですから、シール貼りもはとても重要な「おしごと」のひとつだといえます。
ここでは、ある程度手先が器用に動くようになってきた3歳児さんにおススメのシール貼りの
おしごとについて、いろいろとご紹介していきたいと思います。
3歳は、どんどん手先が器用に!おススメは径8mmの小さな丸シール
3歳になると、言葉も喋れるようになってコミュニケーションもとれます。
運動機能をみてみますと、走る、跳ぶ、持つ、ひっぱる、などの身体機能が発達して、
自分の身体をうまくコントロールして大きな動作ができるようになっています。
運動機能の発達は、身体の中心から末端へ、大きな動作から細かい動作へとうつっていくので、運動の敏感期のなかでも、手や指を器用に使えるようになるための敏感期に入ります。
細かい手や指の動作ができる「器用さ」は自立に直結していることをご存じでしょうか。
なぜなら、自分でできることが増えると、どんどん自信が持てるようになるからです。
逆に不器用さは、物事の苦手感から自信を失うことにつながってしまいます。
自分が思ったとおりにできなくてイライラする、自分で自分のことができなくて怒られた、など
苦手なことが増えると自信がなくなってきてしまいますよね。
子供に器用な指先の練習をどんどんさせることによって、自信がつき子供自身が自立へとむかっていくことになるんですね。
保育園・幼稚園などでも、よく丸いドットシールを台紙に貼る遊びを行っています。
我が家の3歳児もよく保育園から持ち帰ってきます。
丸いドットシールはカラーも豊富で安価なので重宝しますよね。
大きさも、直径22mm、15mm、10mm、8mm、といろいろあります。
ある程度指先がつかえる3歳の子供には、小さな8mm径の丸シールがおススメです。
径8mmタイプは、1シートに約70個あり、それが15シート入っていても200円未満で購入できるという安さです。
おしごとに使うにためには、ひと手間準備が必要です。
- 1シートを10等分ぐらいにカットしておきます。
大きなシートのままだと、ひとつのシールをはがす際に他のシールまで剥がれてしまいます。
子供の小さな手に使いやすい大きさにカットするのがおススメです。
径の大きなシールなら1個1個にカットするのがよいのですが、径が小さくなると準備が
非常に面倒なので、ちょっと楽をして、細長くカットしておきます。
- シールのカラーごとに小分けできる容器を準備しておきます。
仕切りを自由に挿して区切ることができるプラスチック製の収納容器などがおすすめです。
100均などでもいろいろな種類があります。
これに、色ごとに仕分けして入れておきます。色数は5色程度がベストです。
- ゴミを入れる容器を準備しておきます。
これが大きなポイントになります。
貼ったあとのゴミをためる場所をきちんと指示してあげることが大切です。
これは他のおしごとにも共通していえますが、物の置き場所をすべて決めてあげます。
どこに置いていいかわからないもの、をつくらないのがポイントで、
これが整理整頓の力や段取りを組む力にもつながってくるそうです。
- シール台紙を準備して、必要なものすべてをトレイの上にのせておきます。
これで準備完了です。
モンテッソーリでは、ひとつのおしごとで使う道具はすべて一つのトレイやお盆に載せておく、
というのがルールです。
シール貼り台紙はダウンロードできる。ドットシールでモザイクアートも。
シール台紙は、購入することもできますが、おうちにプリンターがある方は、無料ダウンロードができるWebサイトがたくさんあるので大変便利です。
いくつかご紹介しますので、まとめてたくさん印刷しておくことをおススメします。
- smoプリ
- ちいく村~おうちで賢くそだてよう~
- ゆびさきクラブ
ちょっと余談ですが、シール貼りが幼児のあそびだけだと思ったら大間違いです。
今、この丸シールを使ってモザイクアートをつくる、という大人の趣味も増えているんです。
シール貼りが大好きだった子供が小学生になって、丸シールアートに挑戦するようになったり、
丸シールを使ってモザイクアートの大作を作った学生さんもいます。
また、指先を使った作業なので、シニアにも大変人気があり、丸シールをつかったアートワークは介護施設などでも取り組まれているそうですよ。
毎日育児ばかりでちょっと息抜きしたい、なにか没頭できる趣味をもちたい、というお母さんにも実はおススメなんです。
是非お子さんといっしょに時間を忘れてやってみてはいかがでしょうか。
黙々と手を動かすと、意外と頭がすっきりしてきますよ。
まとめ
いかがでしたか?
保育園や幼稚園でおなじみのシール貼りも、モンテッソーリの代表的なおしごとだと
いうことがわかりました。
また、注意してもいろいろなところにシールを貼りまくってしまう子供の習性は、
実はモンテッソーリの「敏感期」で説明すると非常にわかりやすいですよね。
壁や家具に貼ってほしくなければ、「だめ」と言わずに、シール貼りのおしごととして
思う存分やってもらう事のほうが効果的だったりしますよ。
シール貼り台紙は、年齢や発達にあわせてさまざまな図案のものが無料でダウンロード
できるので、ぜひ活用してみてくださいね。