今日は、モンテッソーリのお仕事一覧を
5つのカテゴリーに分けて詳しくお話していきます。
1.日常生活の練習の教具
2.感覚(五感)の教具
3.日常のお手伝い
4.感性(センス)を育む
5.日常の全身運動
正規のモンテッソーリ教具は非常に値が張りますが、
家庭でモンテッソーリを実践したい場合には、身近なものを代用したり手作りすればOKです。
アイディア次第で無限に教具を作ることができるので、実際の例をあげてご紹介していきますね。
記事の後半では、
モンテッソーリの教具と一般のおもちゃは何が違うのか?
モンテッソーリは子育てが楽しくなる魔法のメソッドについてお話していきます。
モンテッソーリのお仕事一覧 意欲や集中力を高める5つのお仕事
モンテッソーリのお仕事を5つのカテゴリーに分けてご紹介していきます。
日常生活の練習の教具
モンテッソーリ教育のもっとも重要視する、基礎となる項目です。
赤ちゃんがなにかを「つかむ」ことから始まり、手指や全身をつかって日常生活の練習をします。身体の使い方や手指の器用さ、そして集中力や注意力が育まれます。
(おしごと例)洗濯ばさみ遊び ~2歳ごろから~
親指・人差し指・中指の3本の指がうまく使えるようになったら、
「はさむお仕事」がおススメです。
子供はとにかく洗濯ばさみが大好きです。
洗濯ばさみをつなげてヘビを作ったり、
スカートのすそにずらりと洗濯ばさみをつけてレースのようにして遊んだり、
我が子も小さいころ洗濯ばさみで散々遊びました。
最初は、やりやすいように「はさむための台紙」を作ってあげると良いです。
例えば、
- 洗濯ばさみ2個をつければウサギさんが完成する厚紙台紙。
- 洗濯ばさみを右4個・左4個つければカニさんが完成する厚紙台紙。
- 尾ひれを洗濯ばさみでつけられるお魚さんの厚紙台紙。
などなど、厚紙とペンがあればすぐに作れます。
洗濯ばさみの扱いが上手になったら、
お部屋に低いひもを張って、ハンカチなど本物の
洗濯物を干すおしごとにもつなげることができます。
洗濯ばさみの手指の使い方はのちに、鉛筆やハサミの扱いにつながっていきます。
感覚(五感)の教具
人間の五感( 視覚・ 聴覚・ 触覚・ 嗅覚・ 味覚 )は、
周囲の現象を認識するために大切な感覚です。
まず五感で感じたあとに、記憶、想像、思考などの人間の知性がはたらきます。
感覚の教具によって感覚を洗練させることによって、
表現力や創造力、思考力が豊かに養われるといわれています。
(教具例)触覚ボード ~0歳から~
いろんなものに手をのばすようになったら、触覚の敏感期のはじまりです。
さまざまな素材の材質や温度の違いを感じられるように、つるつるのもの、ざらざらのもの、
ふわふわのもの、ごつごつのもの、などさまざまな素材を集めます。
サイズが大きいものは10cm四方程度にカットします。
それらをひとつのボードに集めて貼ったものが触覚ボードです。
布やフェルト、台所スポンジやゴム手袋といった
家庭にあるもの、100均で揃うものでOKです。
触覚が鍛えられることで、
のちの「つかむ」「ひっぱる」などの手指の運動へとつながっていきます。
日常のお手伝い
特別な教具がなくても、日常生活の一環である掃除、洗濯、料理をお手伝いすることによって、
身体の上手な使い方を習得でき、手指の器用性も高まります。
さらに、注意力、集中力、思いやり、それから大人になって一番役にたつ段取り力が育まれます。
(おしごと例)雑巾がけ ~3歳ごろから~
雑巾がけは全身をつかう子供が大好きなお手伝いです。
まずは子供の手の大きさに適した小さめサイズの雑巾を用意してあげるとよいです。
最初は上手に進めなくて両足でぴょんぴょん跳んだりしますが、慣れるとスピードも出て筋力もアップします。
また、雑巾を「しぼる」という動作を習得することも非常に重要です。
我が子も、きっちり固く絞れるようになるまでは、ずいぶんかかりました。
掃除をすることで部屋がきれいになる気持ちよさを体験することで、
環境に目を向ける良いきっかけになったり、空間を把握する能力、掃除をおこなう上での段取り力なども合わせて育まれます。
感性を育む
コミュニケーションを円滑にするカギともなるのが、表現力です。
同じ出来事を伝える場合にも、どんな言葉を選ぶのか、色で表すなら何色なのか、そのチョイスによって伝わり方が大きく変わっていきますよね。
さまざまな表現方法を知ることで、コミュニケーション能力が高められます。
(おしごと例)色水づくり ~3歳ごろから~
子供が大好きな色水づくりからのジュースやさんごっこ。
絵具で色水をつくるのも良いですが、花や野菜などから色水をつくるのも面白いです。
代表的なのは、アサガオやオシロイ花ですね。
小松菜やホウレンソウ、おろした人参やイチゴなどを、ビニール袋に入れてよく揉むとさまざまな色水を作ることができます。
「センスが良い」という言葉がありますが、そのセンスは環境で育む要素が大きいと言われています。
大人がきっかけを与えてあげることで、子供は豊かな感性を磨くことができます。
日常の全身運動
盛んに身体を動かしてさまざまなものを吸収していく時期を「運動の敏感期」といいます。
身体を動かすことで精神・知性も発達するとモンテッソーリでは考えられています。
例えば、花に自分の鼻を近づけて匂いを嗅ぐ。
この動作ができてはじめて、花の匂いを感じる嗅覚を働かせることができます。
(おしごと例)戸外でお散歩 ~1歳から~
歩けるようになったら、抱っこやベビーカーばかりではなく、とにかく手をつないで外をお散歩をしましょう。
自分の足で歩いたり走ったりぴょんぴょん跳んだりする楽しみや、
自然のなかでさまざまな発見をすることが一番重要です。
身体の運動だけでなく、戸外の散歩は五感の刺激が非常に多くあります。
例えば、歩きながら綺麗な色の葉っぱを拾ったり、鳥の声を聴いたり、飛行機雲を追ったり、
子供達の気づきに逆にわたしたち大人のほうがハッとさせられることが多い気がします。
歩きはじめた子供は、視界がよりいっそう立体的になることによって、見える世界が一気にひろがる時期です。
自分の身体を動かして「ああしたい、こうしたい」という意思が強まると、
さまざまな事象への好奇心にもつながっていき、自立へ向かいやすくなります。
AI時代に必須「非認知能力」も高めるモンテッソーリ教具。
モンテッソーリ教具は、どのような能力を獲得するか、という目的別に
大きく2種類にわけられます。
ひとつめは、数の理解を深めたり、読み書きや文字などの理解を高めるための教具です。
これらは、「認知機能を高める教具」と言えます。
モンテッソーリ以外の知育玩具や就学前学習などでも数多くみられますね。
もうひとつは、非認知能力機能を高める教具です。
「非認知能力」というと難しいですし内容は非常に多岐にわたりますが、
簡単にいうと「学校の学力テストでは測れない能力」で、
これからのAI時代に非常に必要とされる能力と言われています。
例えば、なにか挫折をしたときに上手に自分と向き合い、
なにが原因だったのかを考え、次の成功に向けて意欲を高めることができる力。
これも非認知能力のひとつです。
他者と上手にコミュニケーションをとって、
協調性をもって物事を進めていく力。
いわゆる社交性のような能力も、非認知能力です。
子供の世界でいえば、例えば大縄跳びにうまくは入れない子がいるとします。
うまくできないから、癇癪を起したり泣いたり、参加するのを辞めたりするかもしれません。
でも、自分の気持ちを整理して、お友達や大人のアドバイスに耳を傾けられるようになると、
少しずつもう一回練習してみようかな、というやる気や向上心に変えることができますよね。
そして、自分の身体の上手に使い、できるまで何度も練習する忍耐力や集中力もつきます。
お友達と協力したり気持ちを表現しあったりするコミュニケーション能力もつきます。
非認知能力を鍛える訓練をしていないまま成長すると、
自分がやりたくない事はやらないわがままな人間になったり、
ひとつ失敗しただけで心がポッキリ折れてしまう人間になってしまうかもしれません。
子供時代に自分の気持ちと折り合いをつける練習をし、
どういう部分がダメだったのかを検証して、次につなげる努力ができる力を身に付ければ、
のちのち思春期・青年期そして社会人になったときに、どんな困難も乗り越えていけます。
この「非認知能力」を高めるための「おしごと」は
モンテッソーリ教育の大きな特徴なんです。
モンテッソーリ教具はおもちゃとどう違う?敏感期に取り組むお仕事
モンテッソーリ教育をがっつり実施している幼稚園などに行くと、
教具棚にふしぎなおもちゃのようなものがたくさん並んでいます。
たいていの場合、トレイに入れて棚に陳列してあり、
子供達は自分でやりたい教具を取ってきて黙々と取り組む活動を
「おしごとの時間」と呼ばれています。
では、特別な施設や園には行っていないけれど、
おうちでモンテッソーリを実践したい場合はどうでしょうか。
モンテッソーリ教具はネットで購入することができます。
しかし、モンテッソーリ教具正規品は、お値段が非常に高価でびっくりされると思います。
なぜならこれらの教具は、素材や重さ、デザインの細部にいたるまで非常にこだわって作られているためです。
そもそも、モンテッソーリ教具って、一般的なおもちゃと一体なにが違うのでしょうか。
子供は特別なおもちゃでなくても、身近なものになにか興味を持ったとき、
非常にそれに執着して無心になって取り組むことがよくあります。
夢中になって取り組む、という点において、
モンテッソーリ教具も一種のおもちゃであるといえます。
しかし、一般的なおもちゃは、キャラクターであったり派手な効果音や光、刺激的な色などで子供の興味をひくように作られています。
言ってみれば、非常に媚をうって「僕で遊んでよ!」といわんばかりの外見です。
どの子供も夢中になって遊びますが、この一時的な興味はすぐに飽きてしまい、
いつでも遊びをやめることができてしまうのです。
一方で、モンテッソーリ教具は
華美な装飾が一切ないので、一見するとつまらなそうなものに見えます。
例えるなら、誰にも媚を売らず、
「僕は職人気質なんで・・・・」というようなタイプでしょうか。
しかし、明確な目的をもって作られているため、
「敏感期」といって子供がなにかに興味を持って固執する時期に合わせて作られています。
ですから敏感期に合わない教具には、子供はまったく興味を示しませんが、
いったん取り組みはじめると簡単には飽きたりやめたりしません。
「満足した」と納得するまで執拗に続けられ、ある日パタッとやらなくなります。
子供が満足したとき、子供はなにかの能力をひとつ習得しているのです。
これが、「モンテッソーリ教具」です。
モンテッソーリは、子育てが楽しくなる魔法のメソッド。
「モンテッソーリ教育」なんていうと、
特別な幼稚園に通う特別な教育プログラムのように感じてしまいます。
でもそれは、誤解です!!
もちろんモンテッソーリ教育に特化している園や施設は数多くあり、
モンテッソーリ教具を揃えて教育プログラム化しているところもあります。
しかし、本来のモンテッソーリの考え方は、
家庭や日常の子育てで大変役にたつ、育児テクのひとつ
というふうに捉えたほうがしっくりきます。
ですから、今日からおうちでも実践できますし、教具を揃えなくても全然OK.。
家にあるもので代用したり手作りしたりしても、立派なモンテッソーリ流です。
わたしが一番伝えたいのは、モンテッソーリを知ると子育てがとても楽しくなるということです。
例えば、子供のイタズラが多くてに非常に困っているお母さんがいるとします。
駄目だと言っても毎日同じイタズラをされて、お母さんのほうもイライラしています。
でも、モンテッソーリでは、「それは本当にイタズラですか?」というところから入ります。
実は、それはイタズラではなくて、
子供がなにかの動作を習得しようとして繰り返し練習しているとわかったらどうでしょうか?
子供にそれをされて困るのは、大人だけの都合であって、
子供にとっては非常に大切な学びと訓練の時間だと気づくと、
お母さんの気持ちがまったく変わってきませんか?
モンテッソーリでは、「イタズラ」を「学びの時間」に変えるために、おしごとと教具があります。
ところかまわず家のあちこちにシールを貼る子供を毎日注意していたお母さんが、
モンテッソーリを知ることで、子供はシールを貼ることで手指の細かい使い方を練習しているということが理解できます。
それならば、思う存分シールを貼る台紙などを
たくさん用意してあげることで子供は満足し、家の壁や家具には貼らずに済むようになります。
子供もハッピー、大人もハッピーですよね。
これがモンテッソーリ教育の神髄だと私は思っています。
まとめ
いかがでしたか?
モンテッソーリ教育で使われている教具の概要や、ふつうのおもちゃで遊ぶのと
モンテッソーリ教具で遊ぶのとは、目的が大きく違うことがわかっていただけたかと思います。
また、モンテッソーリ教育で重要視されている「非認知能力」は、
最近とても注目されるようになりました。
学力だけで測れる教育だけを推進してきた結果、
社会に出てからの適応能力が不足していることがわかった我が国では、
「生きる力」の育成と題して、義務教育でも非認知能力をもっと
育めるような学習プログラムに意向してきています。
モンテッソーリ教育は、そんな「生きる力」を育むための基礎として、まさにぴったりです。
また、お父さんお母さんも、子育てがすごく楽しくハッピーになれる魔法のメソッドなんですよ。
是非、おうちでできることから取り入れてみてくださいね。
きっと大人も見える世界が変わること間違いなしです。