子供が一人で立ち、歩けるようになると子供の行動範囲がぐっと広がります。
途端にお母さんは目が離せなくなって日々のお世話に大忙し!
大人を困らせる特有のイタズラも多くなってくるのが、動き始めた1歳ごろからです。
そんな小さな頃からモンテッソーリ教育なんて受けられるの?とお考えかと思いますが、
1歳からでも、おうちでも、簡単にはじめられますよ!
モンテッソーリにはさまざまな独特な教具がありますよね。
どれもこれも、五感、運動の力を伸ばすための「おしごと」に必要な道具なのですが、
これらはお値段もはるものが多いので、必ずしも教具を揃えなくても大丈夫です。
おうちにあるもので、じゅうぶん実践できますし、
モンテッソーリのおもちゃは手作りしても全然OKです。
ポイントは
子供が繰り返す困ったイタズラこそ
モンテッソーリ流のおしごと(おもちゃ)を用意して
思う存分、やらせてあげること、です。
さあ、今日からさっそくモンテッソーリ流のおしごとを実践してみましょう。
教具は揃えなくてOK。1歳半に最適なおしごと5つの手作りおもちゃ例
さて、モンテッソーリにはさまざまな教具がありますが、なにも教具がないとできないというわけではありません。
おうちにあるもので代用したり、手作りしたりすることでりっぱな教具になります。
ポイントは
子供が繰り返す困ったイタズラこそ、思う存分やらせてあげること、です。
ここからは、1歳半の子供に多い
『5つの困ったイタズラ』をヒントに
簡単に用意できるモンテッソーリ手作りおもちゃの例をご紹介します。
モンテッソーリ手作りおもちゃの例①家具や机によじ登る
机によじ登る子には、机にのるのは行儀が悪いことを伝え、机とは別に登っても安全なものを用意してあげて、「ここならいくら登ってもいいよ。」と自由に上り降りをさせてあげましょう。
子供はよじ登る「おしごと」を繰り返すなかで、のぼる動作につかう手の力の入れ方や足の運び方を習得していきます。
おうちに段差がないときは、マットレスをつみあげたり、柔らかいソファを置いてあげたり、安全な段差をつくってあげると良いでしょう。
保育施設などはよく牛乳パックで椅子やソファや階段を作っていますよね。
牛乳バックのなかに新聞紙をつめて丈夫にしたものを偶数個ガムテープで固定することで、
さまざまな大きさの直方体を作ることができます。
保育園の遊具をよくよく観察してみると、保育士さんは牛乳パックの使い手だ!と感心するほど牛乳パックでなんでも作っていますよ。
モンテッソーリ手作りおもちゃの例②水を出しっぱなし、水遊びが好き
水をだしっぱなしにして水遊びをする子には、大きなたらいに水をはってあげて、野菜を洗う「おしごと」をしてもらうと良いです。
水の感触を思う存分楽しめて、さらに「洗う」動作に必要な、手指の動かし方を習得することができるのです。
加えて、食材に触れることは食育にもとてもよいですよね。
洗うおしごとができるようになると、次は2歳ぐらいの子が熱中する「注ぐ」おしごとへと
発展していきますよ。
モンテッソーリ手作りおもちゃの例③トイレットペーパーで遊ぶ
トイレットペーパーを全部引き出す子、我が家の長女がまさにこれでした。
困った私は、2連のペーパーホルダーの1つにダミーのトイレットペーパーを付けました。
ペーパーの芯に白い長いフェルト(紙でもよいと思います。)をぐるぐる巻きつけたものを作りました。
そして、「こちら側なら、引きだしてもいいよ。」というルールを決めました。
効果はてきめんでしたが、すごい勢いで引き出すので、どんどん替えが必要になり、
結果的に、6個ほどダミーのトイレットペーパーを作るはめになりました(笑)
モンテッソーリ手作りおもちゃの例④食事中にスプーンを落とす
食事中にスプーンを落とす子は、食事中のスプーン落としはマナーが悪い、という事は教えてあげる必要がありますね。
その代わりに、思う存分「落とす」おしごとをしてもらうのです。
ぽっとん落としという代表的なおもちゃがありますが、代用品は家庭にあるもので簡単に用意できます。
穴に物を落とす手作りおもちゃには、さまざまな例が見つかります。
透明のパスタストッカーに、ペットボトルの蓋を2つくっつけて円筒形にしたものを落とすタイプは、保育施設などでもよく作られています。
また、穴の大きさは、段階に応じてだんだんと小さくします。
カッターで簡単に穴があけられるタッパーのふたなどに、貯金箱のような細い穴をあけて、
そのなかにおはじきを落とすのもよいですね。
少し応用編のおもちゃとして、市販で売られている型はめパズルがあります。
三角の穴に三角のつみきを、丸い穴に丸いつみきをはめる、というおもちゃですね。
「落とす」動作からさらに、形を見分けるおしごとにもつながっていくおもちゃです。
モンテッソーリ手作りおもちゃの例⑤キッチンに入りたがる、料理の邪魔をする
キッチンに入りたがる子は喜んで迎えてあげましょう。
キッチンのわきにその子専用の小さな机といすを用意してあげると、料理の邪魔ではなく
立派なお手伝いをするようになりますよ。
野菜の皮をむくおしごと、レタスをちぎるおしごとなど1歳半ぐらいの子供にぴったりです。
また、パン生地をこねるおしごと、ビニール袋にいれたハンバーグのタネやマッシュポテトをにぎりつぶすおしごとも、子供は大好きです。
「もういいよ」と言っても延々とやってくれますよ。
1歳は感覚と運動の敏感期。さまざまな動作を経験させることが重要
だいたい1歳半ぐらいになると、子供は自分の足で立って歩き始めます。
歩けるようになると、子供の世界はぐんと立体的に立ち上がってきます。
視線が高くなり視線が移動することで、見えるものが変わり、興味がどんどん広がるためです。
1歳という時期は、自分の身体をどんどん動かしてみたくてたまらない時期なのです。
身体は自分で動かしてみることで、上手にコントロールできるようになります。
自分の足を動かし、手をのばしていろいろなものを触ることで脳は刺激されていきます。
また、子供の発達には2つのポイントがあります。
まず、身体の中心から末端へ発達すること。
そして、大きな動きから細かい動きへと発達すること、です。
さきほど、五感と運動機能の発達がすべての発達の基礎になるというお話をしましたが、
「運動」というと、走ることやボールを投げることのようにスポーツのようなイメージをもつかもしれません。
しかし、ここでいう「運動」とは「動作」というニュアンスで使われています。
持つ、運ぶ、つまむ、注ぐ、結ぶ、しぼる
これらの「動作」を組み合わせて日常生活をスムーズに送れるようになっていきます。
そして、感覚機能と運動機能が一緒に育つことがとても大切なのです。
分厚い手袋をしている状態では、細かい作業はできませんよね。
それと同じで、繊細な感覚があってこそ器用な動作ができるのです。
手や指が器用に動かせることは、「自分はこんなこともできた!」という子供の自信や今後の意欲にもつながっていくのですよ。
では、ここで質問です。
あなたのお子さんは何度注意しても机によじ登っていませんか?
水を出しっぱなしにして、ずっと手を洗っていませんか?
トイレに行くと、トイレットペーパーを全部引き出しませんか?
食事のときに、わざとスプーンを何度も落としたりしませんか?
お母さんが料理をしていると、すぐにキッチンに入って邪魔しにきませんか。
どれか1つくらいは思い当たるふしがあるのではないでしょうか。
お母さんの立場としては、危ないとか無駄遣いとか、どれも「やめてほしい行為」ですよね。
だから注意したりやめさせたりします。
でも、子供の立場としては、これらは単なるいたずらではないのです。
今、まさに何かの能力を獲得しようとして執着している動作や行動なのです。
このことを、モンテッソーリでは「敏感期」と呼んでいます。
敏感期を逃さずに、似たような代替品を与えて、子供が飽きるまでとにかく何度もやらせてあげることが「おしごと」になります。
私たちは、子どもたちの「おしごと」用に
手作りおもちゃや環境を用意してあげれば良いのです。
「おしごと」に集中しはじめると、お母さんが何度注意してもやめてくれなかった行動をやめてくれるようになります。
そして、何度も何度もうんざりするほど「おしごと」に熱中します。
そして、ある日突然ぴたっと、その「おしごと」をやらなくなります。
それが、「やりきった」合図、つまり能力習得完了のサインです。
モンテッソーリは特別な教育じゃない!5歳までの「日常生活の練習」を大切に
「モンテッソーリ教育」と聞くと、ドラッカーとか、藤井聡太棋士とか、天才的な才能をもつ人達が受けた、すごい教育のように思いがちです。
しかし、モンテッソーリ教育では日常生活を通して子供が本来もっている力を引き出すことをねらいとしており、
5歳までの「日常生活の練習」が非常に重要視されています。
特に
- 五感を発達させること
- 運動機能を発達させること
この2つを二本柱として、どんどんと発達していく子供の能力の土台づくりをするのです。
建物にたとえると、五感や運動の力は、建物の基礎です。
基礎をしっかり作らないうちに2階や3階をつくっても、建物は崩れてしまいますよね。
子供の発達もそれと同じなんです。
今まさに子供達が興味をもってやっていることが、その子が今まさに習得しようとしている能力だと考え、
それらに主体的に取り組むことを「おしごとをする」と呼んでいます。
まとめ
いかがでしたか?
モンテッソーリなんて難しそう、と思っていたけど、なあんだ意外と簡単じゃない?
と思っていただけたら嬉しいです。
1歳からでも、教具をそろえなくても、今日からおうちではじめられるんです。
そして、いままでイタズラだと思っていたことが、発達にかかわる大切な動作だった、とわかると、イライラすることもなくなりますよね。
やめてほしいと思っていたのは親の都合であって、子供にとっては必要不可欠なイタズラだったんですね。
敏感期とか、おしごと、とか難しい言葉ではなくて、
「繰り返す困ったイタズラは、代替品をあたえて思う存分やらせてあげる。」
それだけでモンテッソーリ流のおしごとなんですよね。
ぜひぜひ、今日から試してみてくださいね。