モンテッソーリ教育を取り入れている幼稚園や学校では、丁寧に作られた本物の教具を使います。
1つ1つが高価なので家で揃えるのは無理がありますが
専用の教具がなくても大丈夫!
家にあるもので代用したり手作りすることで、モンテッソーリ流の子育てができますよ。
今回は、モンテッソーリの活動のなかでも、
特に「手指を使うもの」をピックアップして
5歳児さんがおうちでも実践できる「おしごと」を紹介していきたいと思います。
家でできる!モンテッソーリ5歳向けの手作り教具「紙を編む」「紙を縫う」
モンテッソーリ流は、子供達が自分でやりたい活動(あそび)を自分で選択して取り組みます。
活動のはじまりも終わりも、大人に指示されるのではなく、自分で終わりの時間も決めます。
このような活動のことを、モンテッソーリでは「おしごと」と呼んでいます。
モンテッソーリの「おしごと」のなかで、私が非常に特徴的だと思っているのが
「編む」おしごと、そして「縫う」おしごとです。
これは、ある程度指先が器用になってきた5歳児さんに非常におススメです。
と言っても、いきなり毛糸と編み棒で編み物をするのではありません。
色画用紙などの紙を帯状にしたものを編むんです。
そして、「縫う」ほうも、布ではなく画用紙を縫うのです。
とっても独特ですよね。
編むおしごとも、縫うおしごとも、
材料は100均などですべて揃いますが、少々事前準備が必要です。
以下くわしくまとめます。
編むおしごと
準備するもの
- 黒の色画用紙1枚
- カラフルな色画用紙を数色
黒の色画用紙は、八つ切り画用紙を4等分したぐらいのサイズがちょうどよいです。
この黒い画用紙は、編み台紙となります。
- 黒の画用紙に線をひく。
1cm間隔、もしくは2cm間隔など等間隔で直線を書き、ちょうど便箋のような状態にします。
上下左右の余白は多めにとっておくとよいです。
- 黒画用紙に書いた直線を切る。
等間隔で書いた線をカッターで切れ込みをいれていきます。
端っこが弱くやぶれやすくなるので注意してください。
これで編み台紙はできあがりです。
ちなみに最初は難しいので、切れ込みの間隔が大きい方が取り組みやすいです。
- 編み込む帯をカットする。
次に黒以外の色で、1cmもしくは2cmの幅の帯状にカットしたものを何本もたくさん作ります。
このカラー帯を編み込んでいくことになります。
長さは、黒画用紙の切れ込みを縦にしたときの、横幅の長さと同じ長さがベストです。
カラフルな色を用意すると黒に映えてきれいな模様ができます。
これで下準備は終わりです。
子供は、黒の編み台紙に、編みこむカラー帯を上・下とくぐらせながら編み込んでいきます。
最初は、市松模様ができあがれば完成です。
編む作業に慣れてくると、次は編みながらいろんな模様を作ることに挑戦です。
お手本として、ハート型やダイヤ型、幾何学模様など、数種類のお手本を用意しておくと
それを見ながらいろいろな模様にチャレンジしていくことができます。
このおしごとに熱中する子は、何週間も何週間もハマって作り続けるそうですよ。
縫うおしごと
用意するもの
- 色画用紙
- 毛糸用の太い縫い針
- 細い毛糸
- 針山
- 台紙となる色画用紙にイラストを描く。
最初はまずまっすぐ縫えるように、直線のデザインがよいでしょう。
例えば、太陽マークや、線路、ぎざぎざ模様の草、雨模様など、なんでもかまいません。
もし、絵を描くのが苦手な方は、可愛い線画のイラストをネットで探すのもおススメです。
- 針を通す場所にすべて穴を開ける。
イラストの直線部分をなぞるように毛糸で縫っていくのですが、
針を通す場所に等間隔ですべて穴をあけておいてあげるのが重要ポイントです。
穴あけには、工具のキリや、千枚通し(目打ち)などが最適です。
針を刺す穴があることで、場所に迷うことなく簡単に糸が通せる上、おのずと等間隔のきれいな縫い目ができあがるためです。
- 針に毛糸を通し、玉止めして針山にセットしておく。
毛糸用の縫い針は、通常の針とくらべてかなり太く、先端も尖っていないため
子供が怖がらずに扱えます。
最初のころは、針を刺す向きがごちゃごちゃになり、毛糸がこんがらがってしまうことも多いです。
うちの子供も「どっちから刺すのかわからない。」と何度も失敗していました。
根気よくチャレンジしていくと、上手に縫えるようになりますよ。
モンテッソーリ手作り教具の使い方。子どもに見せるときの2つのコツ
モンテッソーリの手作り教具の使い方を見せるときは、次の2つのコツを意識しましょう。
子どもに新しいやり方を教えるときの教示の仕方で
モンテッソーリならではの特徴的なやり方です。
教示のポイントは
- 言葉で伝えず、黙って動作を見せる。
- スーパースローモーションでやってみせる
この2点です。
子供は、視覚からの情報と聴覚からの情報を同時に与えられると、
処理に時間がかかり、困惑します。
ですから、より多くの情報を得られる視覚からの情報に限定します。
さらに理解しやすいように
スピードをゆっくりにして見せてあげると非常に効果的なんです。
何度教えてもできなかった事も、このやり方で教示すると、一発でできることもあるんですよ。
是非、実践してみてくださいね。
誤解です!モンテッソーリはお受験対策ではなく『生きる力』を育む!
お子さんが5歳ともなると、そろそろ就学前プログラムなどを意識されるお母さん方も多いのではないでしょうか。
「モンテッソーリ教育」は、よく「お受験」とセットにして認識されていたり、
特別な幼稚園に通う特別な教育プログラムのように考えられがちなのですが・・・・。
それは、大きな誤解です!!
もちろんモンテッソーリ教育に特化している園や施設は数多くあり、
モンテッソーリ教具を揃えて教育プログラム化しているところもあります。
特に、数や量などの数学的な概念を学ぶための独特な教具が数多くあり、
重さや質感やデザインなどにこだわりぬいた、すぐれた教具として有名です。
しかし、本来のモンテッソーリの考え方は、もっと日常を生きる子供たちに寄り添った側面を
もっているのです。
特に「日常生活の訓練」に関しては、発達の根幹として非常に重視しており、
モンテッソーリの活動のなかには、身体の運動発達を促すさまざまな活動があります。
5歳ぐらいになると、歩く・走る・ジャンプするなどの『粗大運動』はわりと満足にコントロールできるようになっていますよね。
次は、手指を器用に動かして道具をつかいこなす『微細運動』の発達が非常に大切です。
なぜなら、身体の末端である手指を、自分の思い通りにコントロールできる、ということは、
のちのちの自己達成感や自己肯定感へとつながっていくからなんです。
自己肯定感が育つと、なにか問題が起きたとしても、問題を解決しながらみずからの目標にむかって進んでいく力が身につきます。
この力は、昨今の義務教育のなかでも非常に重視されている『生きる力』というわけなんです。
「教育」とか「生きる力」とか「自己肯定感」とか
小難しい言葉で説明すると、なんだかそのようなイメージがついてしまいますね。
そうじゃないんです!モンテッソーリって。
どちらかというと、家庭や日常の子育てで大変役に立つ「育児テクのひとつ」というふうに捉えたほうがしっくりきます。
ですから、今日からでもおうちで実践できますし、教具を揃えなくても全然OK.。
家にあるもので代用したり手作りしたりしても、立派なモンテッソーリ流なんです。
モンテッソーリは、子育てが楽しくなる魔法のメソッド。
この記事を読んでくださった方や、おうちモンテッソーリを実践されている方は、
今まで抱いていたモンテッソーリ教育のイメージががらりと変わったのではないかと思います。
おうちでゆる~くモンテッソーリメソッドを実践してみると、
実はお母さんのほうがいろんなことに気づくようになり、子育てが楽しくなります。
なぜなら、今までイライラしていた子供達が起こすさまざまなイタズラや謎の行動の背景には、子供の発達があることが理解できるようになるからです。
お母さんが困っていた、謎行動・珍行動の理由は、たいてい子供の「敏感期」に起因します。
モンテッソーリでは、いままさに子供達が新しい能力を獲得しようとして、あるひとつのことにこだわり固執する時期を「敏感期」と呼んでいます。
敏感期の子供は、とにかくそのことを何度も何度も繰り返さないと気が済まないのです。
そうやって何度も反復練習することでその能力を獲得していきます。
しかし「敏感期」を知らないお母さんには、それが能力獲得のための反復練習だということがわかりません。
単なるいたずらや悪ふざけだと勘違いしてしまって、その行動をやめさせたりします。
そうすると逆に子供はその行動をやりたくなってしまうんです。
親の方も子供のほうも、イライラして気分が悪いですよね。
モンテッソーリでは、その「やりたい要求」を満たすために代替品として教具を与え、
それを使って「おしごと」してもらいます。
そうすると、子供は納得いくまで、そのおしごとに熱中することができ、能力を獲得することができる、というわけなんです。
親も子も両者が幸せになるメソッドだと思われませんか?
さらに、モンテッソーリメソッドには、ああしなきゃいけない、こうしなきゃいけない、
というルールはほとんどありません。
逆に、親はああしたりこうしたりせずに、一歩離れて観察することの方が多くなるでしょう。
子供に選択権と決定権をゆだねて親は見守りに徹すること、
これが一番大事なルールかもしれません。
まとめ
いかがでしたか?
今回は5歳児にぴったりの、おうちで教具を手作りできるおしごとをご紹介しました。
ちょっと準備が大変かもしれませんが、編むおしごとに関しては、
まとめていろんなお手本を作っておいて小出しにするのが良いかと思います。
また、縫うおしごとに関しては、
同じ絵柄を何度も挑戦する事も多いので、同じイラストをコピーして何枚も作っておくのがおススメです。
モンテッソーリメソッドの本質をはじめて知ったという方もいるかもしれません。
私もはじめて知ったとき、目から鱗が落ちるような驚きがありました。
今まで抱いていた「お受験」とか「早期教育」などのイメージがガラッと変わって、
毎日の育児が楽しく、子供も大人も笑顔で過ごせるようになることを心より願っています。