モンテッソーリ棚を正規品で揃えようとすると予算の問題にぶち当たるかと思います。
「ただでさえ教具をいくつか揃えるだけでも高いのに、棚にそんなにお金をかけられない!」と、考えるのは至極当然だと思います。
モンテッソーリ棚が高価になる理由のひとつには、木材の質へのこだわりが大きく関係します。
無垢の集成材が高価だという点、丈夫なつくりを求めると厚みも大きくなり、木材の種類も高価なものを選択することになり値段が跳ね上がってしまいます。
さらに木材価格も高騰していますから、家具自体も値上がりしており、「ますます手が出ない・・・」といった状況です。
そんなときは、「ゆる~くモンテッソーリの心得!」です。
身近にある代用品を活用しましょう。
無印良品やIKEA、ニトリなどでモンテッソーリ棚の代替品を探すポイントやDIYでモンテッソーリ棚を手作りする方法についてお話していきます。
【共通ルール4つ!】モンテッソーリ棚を無印良品・IKEA・ニトリで代用するポイント
無印良品やIKEA、ニトリなどの市販の家具でモンテッソーリ棚に適したものを探そうとすると、案外と見つからなかったりしますよね。
モンテッソーリの棚を市販の家具で代用する際に
押さえておきたいポイントがあります。
正規品のモンテッソーリ棚には共通したルールが4つある、ということです。
- オープン棚で見せる収納をしている。
- 棚に背板がなく両側から出し入れできる。
- 木のぬくもりが感じられる素材で作られている。
- 高さが低く、棚板が2段~3段におさえられている。
この記事の後半で、モンテッソーリ棚の共通ルール4つについて詳しくお伝えしますが、すべてを守る必要はありません。
市販の家具で妥協できるポイントとしては③の素材へのこだわり、です。
たとえば、無印良品では、
無印良品のスタッキングシェルフセットやステンレスユニットシェルフ(稼働棚)がモンテッソーリ棚の代用品としての選択肢になります。
無印良品の棚は、木材の種類を選ぶことができるのですが、
無垢材のウォールナット(濃いブラウン)の棚は値段は高め、オーク材(薄いブラウン)の棚は値段が落ちます。
パイン材(白っぽいナチュラル)であれば、さらに安くなります。
また、高価な無垢材(天然木製)の棚は諦めて、「合成木材」を選ぶことも、選択肢を増やす1つの手となります。
素材にはこだわらず、インテリアに合わせて選ぶのも良いでしょう。
IKEAに置いてある白色の棚は、シンプルでどんなインテリアでも合わせやすいですね。
注意したいのは、安価な商品の質についてです。
棚の角が面取り加工されていない場合が多いので、怪我防止のためにひと手間かけることをおすすめします。
3歳以上のお子さんの使用であれば、ホームセンターでサンドペーパーを購入して、角をやすって落とす、というひと手間をかければ安心して使うことができます。
サンドペーパーは180番~240番ぐらいがおすすめです。
つかまり立ちをするような1歳前後のお子さんが使用する場合は、さらに安全対策が必要です。
100均などで購入できるウレタンのコーナークッションをつけることを強くおすすめします。
モンテッソーリ棚をDIYで自作する!壁面ディスプレイ棚の作り方
DIYが好きな方は、ぜひオリジナリティあふれる棚を自作してみてください。
インテリアとしても素敵な棚になりますよ!
私のおススメは、ツーバイフォーと棚受けを利用した、『壁面ディスプレイ棚』です。
正規モンテッソーリ棚と比べると、共通ルールの②背板がない点を諦めることになりますが、壁を背板にして金物を利用することで、両側を支える側板すら作らなくて良くなるのです。
さらに、インテリアとしてオシャレなので、子供が教具棚から卒業した後も、見せる壁面収納棚として活用できます。
作り方は以下のとおりです。
- 利用したい壁に80cm間隔でツーバイフォー材を縦に突っ張る。
DIY好きな人にはおなじみの、ディアウォールという商品があります。
これは賃貸住宅など壁を傷つけずに壁面収納を作ることができる優れものです。
ツーバイフォー材を床から天井まで工具なしで突っ張ることができます。
奥行きの浅い棚をDIYする人はよく、ツーバイフォー材の厚みの面を壁に接触させて突っ張りますが、今回は材の幅の広い面を壁に接触させて固定します。
- ツーバイフォー材に、棚受け金具をつける。
棚受け金具とは、棚板を乗せるための直角三角形の形をした金具で、ホームセンターに行けば購入することができます。
モンテッソーリ教具を置く棚の奥行きは最低でも25cm程度は必要なので、棚受けの長さは15cm~18cm程度あると安心です。
棚受け金具の数は、棚板×2倍の数を用意します。
棚板と棚板の間は、並べる教具の高さを見ながら、自分で調整し、トータルの高さは90cm以内、棚板の段数は2段から3段におさえましょう。
段数が少ない分、横に広がることになります。
使える壁の面積、ツーバイフォーを何本突っ張るか、何段つくるか、などなど自由にアレンジしてみてくださいね。
将来的に教具棚が必要なくなった時でも、あらかじめツーバイフォー材を天井まで突っ張っているので、4段、5段、6段とディスプレイ棚を増やすことが可能です。
- 棚板を必要な長さにカットして、棚受け金具とビス固定する。
DIYの棚板としてよく用いられるのがパインの集成材です。
便利なことに、面取加工したものもホームセンターに売られています。
パインは軽くてやわらかい分、傷がつきやすいというデメリットがありますが、加工がしやすく、値段もおてごろなのでよく使われます。
棚板のサイズは、奥行き25cm×幅90cm程度。
教具のトレイを置いた時に棚がひっくりかえらないように、棚板と棚受け金具はしっかりと固定しましょう。
棚板の塗装には、オスモカラーがおススメですが、DIYが好きな方は、亜麻仁油や蜜蝋を何度も塗ってはふき取り、を繰り返してオイルフィニッシュ仕上げもあります。
オイルフィニッシュは木目がよりキレイに浮き出てくるので素敵です。
クリア塗装でなくても、ナチュラルカラーを塗装したい場合は、ターナーのミルクペイントなども
おススメです。
モンテッソーリの棚とは?子供のお片付け力が身につく4つの共通ルール!
モンテッソーリ教育を実践している園や、子育て支援施設へ足を運ぶとまず目を奪われるのが、整然と並ぶ無垢材で作られたモンテッソーリ棚に、色合いが美しい教具が並んでいる光景です。
「小さい子が遊ぶ部屋がこんなに片付いているわけな~いっ!」と、思わず我が家の散らかり具合が頭をよぎります。
もちろん、モンテッソーリ園や施設は定期的に大人の手が加わって美しい状態を保たれているとは思います。
ですが、モンテッソーリ教育の教具棚や収納のやり方は、子供のお片付けの力をつけるには非常に学ぶべき教材でもあります。
まず、正規に作られたモンテッソーリの教具棚には、共通のルールが存在します。
オープン棚で見せる収納をしている
モンテッソーリ棚と言ったら、もちろんオープン棚です。
「お仕事」ごとに必要な教具がトレイに載せられて、きれいに並べられているのです。
これは、収納ではなくて、いわばディスプレイです。
ショーウィンドウが魅力的に見えるように、子供達の目に魅力的に映るように、ディスプレイされているのです。
これが、子供達の興味ややる気を引き出す理由でもあります。
棚に背板がなく両側から出し入れできる
棚に背板がないことによって、両側から光が入り並べられているものが奥までよく見えます。
ディスプレイ、という点からは非常にメリットが大きいです。
また、背板がない棚に乱暴に物を片付けると向こう側に落ちてしまいますよね。
逆に考えれば、子供達がひとつひとつの動作を丁寧に行うことを習慣づけられる、ということだと思います。
余談ですが、家具は背板がないと安定感が大幅に減ります。
背板がない家具というのは、それだけ作りがしっかりしているものである必要がある、という点も頭の片隅においておかれると良いと思います。
木のぬくもりが感じられる素材で作られている
モンテッソーリ棚の多くが、無垢の集成材を使って作られ、塗装は木目を生かすクリアな塗装で仕上げています。
ものの素材や質や手触りにもこだわるモンテッソーリ教育ならではです。
ちなみに、無垢の集成材は、カラーボックスなどのフラッシュ家具に比べて高価です。
また、丈夫で硬い木材になればなるほど値が張ります。
そして、②でも挙げた、背板がないということは、つまり縦横の板をどっしりしっかりとしたものにする必要が出てきます。
無垢材は厚みが厚ければ厚いほど値段があがります。
モンテッソーリ棚が高価になってしまう理由はこのへんにあると考えられますね。
高さが低く、棚板が2段~3段におさえられている
モンテッソーリ棚は年齢に合わせて60cm~80cm程度の高さに揃える場合が多いです。
大人には低すぎる高さですが、子供の背の高さや目線を考えると、ベストな高さなのだそうです。
とにかくモンテッソーリでは、子供の使いやすいサイズにこだわります。
道具のひとつひとつが、子供の手にマッチするように作られているので、それらを並べる棚も、サイズ感というのを大事にしているのです。
また、ディスプレイして魅力的に見せるための棚ですから、子供の目線というのは大事ですよね。
以上の4点がモンテッソーリ棚の大きな特徴でもあり、ルールでもあります。
このルールが子供の集中力ややる気を引き出し、片付ける能力も培っていくというわけなのですね。
モンテッソーリ教育は、親子で整理整頓と収納術も磨ける魔法のメソッド
モンテッソーリ棚が設置でき、棚を美しくディスプレイし、そのきれいさを保つためには
実はもうひとつポイントがあります。
このひと手間をかけることで、片付けのルールが作られます。
モンテッソーリ教具の多くはお盆やトレイに置かれていると思いますが、そのトレイはどこに片付けなければならないか、トレイの住所をきちんと明記してあげる、ということです。
保育園や幼稚園でもよく使われているのは、絵サインです。
これは、文字がわからない幼児でも、母国語が違う子供でもわかるように、イラストをアイコン化したものです。
教具の絵アイコンを、棚板に貼っておくパターンです。
写真を使われている施設も多いです。
おうちでゆるくモンテッソーリを実践されている方の中には、絵が苦手な方もいらっしゃるのでしょう。
教具のトレイを上から写真を撮って、その写真を縮小したものを、棚板に貼る、という方法は
とても便利です。
そして、子どもの年齢もある程度大きくなっているし、そういうのをいろいろ作るのは面倒だな、という場合は、市販の丸シールがおススメです。
棚板の小口の部分(厚みにあたる部分)にシールを貼り、教具トレイの側面にも同じ色のシールを貼っておきます。
赤いシールと赤いシールをピッタリ合わせるように片付ける、黄色いシールは黄色いシールとぴったり合わせるようにトレイを置く。
そのようなルールづくりをすると、子供は置き場所に迷うことなく、きっちりとシールを合わせて
トレイを片付けるようになります。
モンテッソーリ教育では、整理整頓の力を育む大きなポイントとして、物ひとつひとつに、きちんとアドレスを与えることを重要としています。
子供に「片付けをしなさい」と言って、なかなか片付けができないのは、片付けのルールがわからないからなんです。
つまり、物をどこに片付けていいのかわからない、おさめるべき場所が不明瞭だから。
「片付け」という作業が漠然としすぎていて動けないのです。
同じマークの場所に置く、同じ色のシールの場所へ戻す、という明確な指示が与えられると
子供は指示通りに動くことができます。
物の居場所=アドレスがひとつひとつ決められていて、ルール通りに片付ける。
元に戻す習慣がつくことによって、成長してからも整理整頓が得意な人間になれるんですね。
まとめ
いかがでしたか?
モンテッソーリ棚の大きな特徴と、モンテッソーリ棚をDIYする際のおすすめのやり方などをご紹介してきました。
私は家具に関わる仕事をしているので、正規のモンテッソーリの棚や、木製の教具がいかに木工品として良質かがわかります。
高額になる理由も非常によくわかります。
だからこそ、手が届かない場合の妥協策や対処、そしてDIYでオリジナルの棚を作るメリットや楽しさもお伝えできたら!という思いです。
モンテッソーリ棚には、究極の収納術とディスプレイの技がつまっています。
是非、モンテッソーリ教育を通して、親子で収納じょうずを目指してみてくださいね。