モンテッソーリ保育園や、モンテッソーリ教育の実践幼稚園に通っていたけど、結局合わなくて辞めましたっていうご家庭、けっこういらっしゃるようです。
実際に通われていた親御さんの感想を調べていると、まずわかったことがあります。
モンテッソーリを取り入れています!と謳っている園のなかでも、その園その園によって
状況が全く違う、ということです。
特に「やめました」という声が多いのは、
「モンテッソーリ教育をガチでやってます!」という園。
それから、カトリック系の宗教教育とともにモンテッソーリ教育を行っている園。
これらの園において、細かいルールが多く方針の相違を感じたという方が多く見られました。
反対に、「午前中にすこし『おしごとの時間』があるぐらいです。」とか
「特にルールに厳しいことはなくて、軽く取り入れている程度です。」
「自由遊びも多くてのびのび過ごせる園です。」という声も多いです。
つまり、その園の方針でまったく子供達の一日の過ごし方も、親にかかる負担も違う、ということがわかりますね。
今回は、「どうしてやめたのか」の部分に焦点をあてて、もう少し詳しく調べてみました。
お子さんの園選びの参考になれば嬉しいです。
モンテッソーリ保育園のデメリット 本物へのこだわりが偏ったルールに
ここでは、モンテッソーリを実践している保育園のデメリットを見てみます。
もちろん、はじめでお話したように、すべての園がこのようなスタイルというわけではありません。
どのような傾向や偏向があるのか知った上で、保育園選びや見学時のチェックポイントとして参考にしてみてください。
モンテッソーリ保育園が合わなかったと感じる声の中に偏ったルールの存在があげられます。
たとえば、モンテッソーリの教えのなかに、「素材は本物に触れることの大切さ」というものがあります。
モンテッソーリ教具のなかにも、割れやすいガラスや陶器の器も用いられ、包丁やアイロンなども本物を使うことが推奨されています。
素材の違いに触れて、扱い方の違いを覚えることを重要視するのですね。
そこからの派生だと私は思うのですが、
「お弁当に加工品を使ってはならない」
「持ち物にキャラクターものを取り入れてはならない」
「家庭でもプラスチック製のおもちゃを使わせない」
などのルールを設けている園があるのです。
そのような親が気を付けなければならないルールの多さが、親の負担となり転園する、というパターンが数多く見られました。
また、モンテッソーリ教育はカトリック系の幼稚園で多く実践されています。
キリスト教に限らず、宗教というのはどれも細かい作法やルールがありますよね。
宗教教育と併せてモンテッソーリ教育を行う園の方針だと、
「余計に細かいルールやルーティンが多く、それに合わない子供は窮屈な思いをする」「もっとのびのび戸外で遊びまわりたい」
という思いから転園するケースもありました。
子供の性格が合わなかった、というケースも多々見受けられました。
「黙々と工作をしたりするのが好きな子供には楽しい時間だけど、走り回ったり大声ではしゃいだり木登りしたりアウトドア派の子供には苦痛でした。」という声も。
これも完全に園の采配によるところが大きいと思います。
海外では、山や森を園庭に組み込んで自然活動をするモンテッソーリ園もあるなかで、
園庭の広さに限界があったり、近くに自然が少なかったり、環境は立地によって大きく左右されますよね。
モンテッソーリの実践園はどんなところ?モンテッソーリ教育のメリット・デメリット
調べていけばいくほど、
『モンテッソーリ実践園』と謳っていても、実情は各園によって千差万別である、ということがわかりました。
どのくらい「おしごとの時間」をとり、戸外で自由に遊ぶ時間がどのくらいあるのか。
モンテッソーリ教具がどれだけ揃えられているのか。
モンテッソーリ教師の資格をもった保育士がどれだけ在籍しているのか。
園庭がどれだけ広く設けられているのか。
毎日のルールにはどんなものがあるのか。
親に課せられるルールがどれだけあるのか。
などなど。
もし入園を検討されている施設があれば、かならず見学に行って実際に確かめることをおススメします。
では、改めてモンテッソーリ園の大きな特徴と、メリット・デメリットなどを簡単にご紹介します。
縦割り保育
モンテッソーリ園は縦割り保育を行っているところがほとんどです。
年長の子どもから年少の子供まで同じクラスで過ごします。
まわりの大きな子たちを見て観察して学ぶ目が鍛えられたり、年長の子が小さい子を助けたり面倒を見たりするなかで、周りへ配慮する力も育まれるからです。
よく、「モンテッソーリは個々を尊重するあまり、わがままな子になる」などと言われることがあります。
縦割り保育を上手に活用し、他の園での生活と同じように、協調性や社会性を学んでいけるので、そこまで心配することはないと思います。
おしごとの時間
モンテッソーリ教具を使った「おしごとの時間」があります。
数ある教具のなかから自分の興味があるものを、自分で決めて、自分の納得いくまでやり続けることができます。
子供の発達は、同じ月齢でもその子によって大きく違います。
一斉に同じ活動をする時間は、得手不得手で進行に差がでてしまったり、他の子と比べてしまったりします。
でも、おしごとの時間は、他のお友達が何をやっていても、自分は自分が熱中できることをやってよいのです。
満足したらやめても良いし、何度同じことをやってもOKです。
特に、発達の敏感期にピタリとマッチしたおしごとをやった時は、できるようになるまで何日も
何日も同じ教具をつかって同じことを繰り返す、という行動がみられるそうです。
ただ、モンテッソーリ教具には、使い方が非常に細かく決まっていて、それ以外の使い方をしてはいけない、というルールがあります。
例えば、「ポットンおとし」という教具(知育玩具としても市販されています)がありますが、「ポットンおとし」としてしか使えません。
こうやったらもっと面白いのに、と遊びをさらに発展させることを禁止しているのです。
この点は、子供の独創性や発想を妨げてしまい、モンテッソーリ教育のデメリットでもあります。
保育士が、どこまで厳密に教具を使わせるか、という部分も園によって異なると思います。
どのモンテッソーリ園も実施しているのは、上記の2点のようです。
あとのプラスαは、各園の特徴となっていくのだと思います。
もちろん、ずっと静かに座っておしごとをしているわけではありません。
みんなで歌を歌ったり、戸外で遊んだり、ワイワイ過ごす時間もちゃんとあるので安心してくださいね。
自立を促すのがモンテッソーリメソッド。親の負担は環境を整えること。
いろいろと調べてご紹介してきましたが、
モンテッソーリ教育には様々なメソッドがあり、子供も大人も向き不向きがある。
モンテッソーリ教育を実践している園も、実情はさまざまである。
という事だと思うのです。
ますます園選びが迷走してしまいそうな結論となってしまったかもしれません。
そんな時は、立ち返ってモンテッソーリの本質を学びなおす事もよいかもしれません。
それぞれの園のルールは、園独自のものであって、必ずしもモンテッソーリ本来のルールではないかもしれません。
あなたがモンテッソーリ教育に惹かれ共感したのはどのような点だったか、
なぜモンテッソーリ園を考えたのか、もう一度原点に還ってみてはいかがでしょうか。
『ママ、ひとりでするのを手伝ってね!』 著 相良敦子
モンテッソーリ教育の代表的な著書で、ご存じの方も多いでしょう。
あべようこさんのイラストで漫画にもなっています。
私はこの本を読むと、原点に還るような気持ちになるのでおススメです。
そもそも、子供には、「自分でやりたい!」「これを学びたい!」「あれができるようになりたい!」など、発達に応じて自ら学ぼうとする力があります。
その、自立しようとする力をサポートしようと環境を整えてあげるのがモンテッソーリメソッドなのだ、という事が書かれています。
出来ない事を手伝ってあげるのではなく、大人が手を出さずに子供の力だけでできるように
工夫してあげる事が「自立」や「自己肯定感」へと繋がります。
大人が手を出さなくてよいために、大人が様々に工夫をこらして環境を整えてあげること、
これがモンテッソーリの考え方なんですよね。
その、環境を整るための労力が、やはり親にとっては非常に負担にもなります。
だって、口出して手を出したほうが100倍楽ですから。
その労力や負担が苦にならないという親御さんは、ガッツリと取り入れればよいですし、忙しいからできる範囲でやろうかな、という親御さんは、できる事だけ取り入れればよいのではないでしょうか。
ゆる~くモンテッソーリを取り入れるやり方なども、さまざまな著書が出ています。
代表的なおしごとを用意するための図案やテンプレートも、今はたくさんネット上に紹介されていて大変便利に活用できます。
園のやり方は、各園の方針に沿ってさまざまです。
あなたは、あなたのやり方でモンテッソーリを取り入れることも、大切なことではないでしょうか。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
モンテッソーリ保育園や幼稚園をやめた理由に焦点をあてて調べるなかで
さまざまな園のメリット・デメリットをご紹介してきました。
どんな園にも、どんな教育方法にも、メリットがあればデメリットがあります。
合う子がいれば合わない子もいて、合う大人もいれば合わない大人もいます。
子供を育てることって、親にとって非常に責任があることだからこそ、
預ける園を選ぶことにも慎重になるし、
子供の様子に合わせて園をやめたり、転園をしたりすることも、
あって当然のことだなあ、真摯に向き合ってる証拠だなあ、と個人的には感じました。
どうか、お子さんも親御さんも、健やかな気持ちで毎日が過ごせる
ぴったりな園に出会えますように。