「この服じゃないと嫌!」「嫌だ!自分でするの!」
そして思うようにできないとかんしゃくを起こしたり大声で泣き叫んだり・・・・。
何度言っても静かにできない我が子。
急に立ち止まってテコでも動こうとしない我が子。
ふりまわされるお父さんお母さんは、どっと疲れてしまいますよね・・・。
イヤイヤ期に入る2歳ごろの大変さは、子育てで最初に直面する大きな壁ではないでしょうか。
でも、心配しなくても大丈夫です。
み~んな経験して、み~んな成長とともにいつの間にか乗り越えられています。
それでも、どうしてこの子はこんなに親を困らせることばかりするんだろう?と悩んだ時。
もしかしたらその困りごとは、モンテッソーリ教育のメソッドである、「おしごと」をすることで解決するかもしれません。
「おしごと」とは、私達が毎日会社に行ってするお仕事ではありません。
モンテッソーリ教育では、子供が今まさに興味をもってやりたい活動や取り組みのことを「おしごと」と呼んでいるんです。
子供にとって「おしごと」は、遊びの延長のようなものです。
おもちゃで遊ぶことと同じように、「おしごと」に驚くほど熱中するんですよ。
「おしごと」を満足するまでやりきると、子供は変わり、親を困らせることもなくなります。
まるで魔法のようですね。
では、具体的にはどのようなことを「おしごと」として取り組むのでしょうか。
そして、2歳の子供におすすめの「おしごと」はどんなものがあるでしょうか。
特に難しく考える必要もありませんし、なにか準備することもありません。
モンテッソーリ教育で最も大切にされているのは
「日常生活の練習」という分野です。
ですから、毎日のくらしのさまざまなこと、さまざまな動作を「おしごと」として子供に取り組んでもらうだけで良いのです。
それでは、くわしくご紹介してきたいと思います。
モンテッソーリ2歳は敏感期の黄金時代。困りごとは「おしごと」で解決
モンテッソーリでは「敏感期」という言葉があります。
子供が、発達段階において今まさに獲得しようとしている能力にたいして、
異様なこだわりを見せる時期があります。
例えば、赤ちゃんはとにかくティッシュを全部出すのが大好きですよね。
これはイタズラでやっているわけではなく、
物を引っ張り出すときの手や指の動きを獲得しようとしているのです。
大人から見ると「イタズラ」とも思える動作や行動を子供が繰り返すときというのは、
その能力が「一番発達しているとき」なのですね。
他にも、ほそーい隙間に物を突っ込むイタズラや
ず~っと水を出しっぱなしにして手を洗ったり洗面台で遊ぶこと。
注意しても注意しても机の上によじ登ったり
壁や机にシールを貼りまくるなど、
あなたも「子供の困った行動やいたずら」に思い当たる節はありませんか?
これらの行動やイタズラはすべて、
感覚機能、運動機能、細かい動作の手や指の使い方を習得するなど、
子供の成長過程において必要不可欠な行動なんです。
一般的に、こういった子供の困った行動に対して、
親は「やられたら困る」と思うから注意してやめさせようとします。
しかし、これらは発達の過程で起こる本能的な欲求なので、
やるなと言われてもやめることはできず、子供は余計にやりたくなってしまいます。
モンテッソーリメソッドでは、これらをイタズラ、とせずに
「思う存分やってください。」とばかりに
代替品を準備して「おしごと」に変えてあげるのです。
モンテッソーリ教具の使い方。子供のいたずら防止ではなく「おしごと」に
この代替品が、いわゆる「モンテッソーリ教具」というわけなのですが、
なにもモンテッソーリ専用の教具を買う必要はありません。
身近にあるもので代替品を準備してあげれば良いだけです。
時には100均などで手作りしてあげれば簡単に準備できることもあります。
子供いたずら防止の代替策①シールペタペタは「シール台紙」を用意する
例えば、シールを家じゅうのあちこちに貼る子供には、
大きな模造紙などを壁に貼って、思う存分貼らせてあげると、子供はしばらく没頭します。
シールを貼るという「おしごと」をやりきって満足してくれると、
貼ってはいけないと言われた場所には貼らなくなります。
ネットを検索すると、保育士さん向けの「シール台紙」があります。
〇がたくさん書いてあり、その〇のなかにシールを貼る「シール台紙」です。
ダウンロードして印刷できるので、それもおおいに活用できると思います。
丸シール貼り台紙 – emoプリ
子供いたずら防止の代替策②細い隙間に物を突っ込む「貯金箱やポスト」
他にも、
細い隙間に物を突っ込むイタズラを繰り返す子供には、
貯金箱やポストのように、細い隙間に物を入れるおもちゃを手作りしてあげるとよいかもしれません。
見た目がキレイなんかじゃなくても構いません。
子供は自分が今いちばん取り組みたい事であれば、夢中で没頭するはずです。
子供いたずら防止の代替策③トイレットペーパーを全部出してしまう「ダミーおもちゃ」
これは私の例ですが、
子供がまだ1~2歳のころ、トイレに行くたびにトイレットペーパーをカラカラと全部ひきだしてしまって非常に困っていました。
そこで、2連のペーパーホルダーのうち1個だけをダミーにして手作りのトイレットペーパーのおもちゃを作って入れておきました。
ダミーのトイレットペーパーは、ペーパー芯に同じ幅の白い長~いフェルトを巻き付けておくだけです。(フェルトがなければ薄手の白い紙でもよいと思います。)
子供には、こっち側のトイレットペーパーはいくらひきだしてもかまわないよ、と言っておきました。
すると、たったそれだけで、私のイライラもトイレットペーパーの無駄もなくなりました。
「ああ、困りごとをおしごとに変えるって、こういう事か!なんだ簡単じゃん。」
当時わたしは目から鱗のような気持ちでした。
子供のいたずらは、注意するより「思いっきりやらせてあげる」
やられると困ることを、いつも注意していると、お母さんのほうも疲弊してしまいますよね。
でも、「これだったら思いっきりやってもいいよ。」と準備してあげるだけで、
子供も嬉しいし、お母さんのほうも、ものすごく気持ちに余裕ができるんです。
このモンテッソーリメソッドを意識しはじめると、「なんで?」と頭を悩ませる子供の謎の行動にはすべて「発達」という背景があることが理解できるようになります。
そうすると、イライラすることが大幅に減って、子供に対して笑顔で接することができるように
なるんですよね。
本当に魔法のようです。
モンテッソーリ教具は手作りでOK。2歳におすすめのおしごと5選
モンテッソーリにはさまざまな教具があり、そのひとつひとつはとても素晴らしいのですが、
揃えようと思ったら、けっこうお値段がはるものばかり。
モンテッソーリ流「おしごと」を取り入れようとしたとき、無理して教具を購入する必要はありません。
だって、モンテッソーリで一番大切にされているのは「日常生活の練習」なんですから。
日々の生活のなかのさまざまな動作や、おてつだいをそのまま取り入れたら、それで立派なモンテッソーリ流です。
ちょうどなんでも自分でやりたいお年頃の2歳児さんにぴったりの「おしごと」を5つご紹介したいと思います。
モンテッソーリ2歳におすすめのお仕事①洗濯干し(ハンカチや靴下など)
子供は洗濯ばさみで遊ぶのが大好きです。
それは、挟むという動作にともなう手や指の使い方を習得するために洗濯ばさみあそびに熱中します。
子供用の小さなハンドタオル、靴下などの小さなものを干すおしごとです。
まず、子供の背の高さに合わせて部屋にひもやロープをはります。
スズランテープでもなんでもかまいません。
そして、たくさんの洗濯ばさみを用意して、ハンカチやタオルや靴下を紐に洗濯ばさみでとめていきます。
きっと、ひもが一本では足りなくなるぐらい、子供達は喜んでどんどん干していくと思いますよ。
部屋中にずらっとハンカチが干されている景色も、すごくいい感じです。
少し慣れてきたら、さらにその干されたハンカチやハンドタオルを眺め、
それらを色で分類してみたり、大きさが小さい順に並べてみたりすると、おしごと応用編です。
これは「秩序に関する敏感期に入ったな」というタイミングで行うと、非常に効果的で
かなり集中して取り組むと思います。
モンテッソーリ2歳におすすめのお仕事②お花のみずやり
これは、小さな子供がすぐやりたがる「水を注ぐ」という動作の練習です。
水を注ぐのは意外と難しいものです。
だから子供達は、牛乳を自分で注いではこぼして怒られてしまうのです。
牛乳をこぼされると、お母さんも心穏やかではいられませんが、
お花に水をあげるぶんには、いくらじゃぶじゃぶとかけても大丈夫です。
ぜひ、庭やプランターにたくさんの植物を植えて、子供達に思う存分お水をあげてもらいましょう。
お花の水やりで、水の注ぎ方の調整が上手になったら、
応用編として、お風呂場のおもちゃとして計量カップを置いておくことをおススメします。
今度は、この線まで注ぐ、という細かい調整ができるようになります。
線ぴったりでとめる、というルールが子供たちにとっても、おしごとに熱中するポイントです。
また、お風呂場ならいくら水をこぼしても大丈夫ですからね。
モンテッソーリ2歳におすすめのお仕事③フルーチェづくり
子供も大人もみんな大好きなハウス食品のフルーチェ。
最近はいろいろな味のレパートリーが増えていますよね。
このフルーチェづくりのなかには、2歳ぐらいの子供が大好きな
「そそぐ」「混ぜる」「よそう」という、たいせつな動作の練習が含まれるんです。
うちの子供たちも小さいころ、楽しくてず~っと混ぜていました。
あまりに混ぜすぎて、なんだかサラサラになってしまうほどでしたが(笑)
フルーチェづくりも、楽しくて美味しい、りっぱな「おしごと」になるんですよ。
モンテッソーリ2歳におすすめのお仕事④サラダづくり
キッチンで行われているお母さんのさまざまな調理のなかには、子供達の興味をそそるものが本当にたくさんあり、子供たちはキッチンに入りたがります。
でも、多くのお母さんは、危ないから、邪魔になるから、などの理由で、子供達をキッチンから追い出してしまいます。
これは大変もったいないことです。
興味をもったまさにその時から、お母さんとキッチンで作業をすることができた子供は、
大きくなっても料理のおしごとを率先してできるようになります。
2歳の子供でもできる調理の「おしごと」に最適なのは、サラダづくりです。
レタスやハム、チーズなどを「ちぎる」動作のおもしろさ、
そして「和える」動作の難しさに子供は燃えます。
下からすくって全体を和えるとき、力加減がうまくいかないと具材が器からはみだします。
なるべく大きめのボウルを用意してあげるのがポイントです。
また、ポテトサラダなら、ジャガイモをつぶす、という「おしごと」も加わりますね。
とにかく調理は、おしごとの宝庫です。
モンテッソーリ2歳におすすめのお仕事⑤そうきんがけ
雑巾がけにも、子供達を惹きつけるポイントがたくさんあります。
まず、「しぼる」という非常に難しい動作です。
両手をねじる手の使い方、力加減などは何度も練習しないとうまくできないものです。
ポイントは、子供の手の大きさにあわせた小さな雑巾を用意してあげること。
やりやすいだけでなく、自分専用の雑巾だとわかると、子供は自ら手を伸ばして使うようになります。
また、ぞうきんがけのポーズは、大人でも身体を鍛えられる全身運動ですよね。
たまにやると、大人でもフーフー言って汗だくになった経験があると思います。
ぞうきんがけは、バランス感覚や体感をきたえられ、また進行方向の距離を確認する空間把握能力も必要なおしごとなのです。
2歳~3歳のお子さんに非常におススメです。
まとめ
毎日、子供のイヤイヤ期にうんざりしているあなたに、モンテッソーリの考え方は朗報だったのではないでしょうか。
しかもモンテッソーリ流、なんて言っても難しいことは全然ないってことがわかりましたよね。
親を困らせる行動の裏側には、必ず「発達」があり、そこから沸き起こる欲求を思う存分やらせてあげることで、子供も親も笑顔でハッピーに過ごせるようになるんです。
昨日までイライラしていたことが、まったくイライラしなくなりますよ。
教具を揃えなくても、毎日の生活のなかのさまざまなお手伝いをしてもらうことが、
モンテッソーリの「おしごと」をすることにつながります。
うまくできなくても黙って見守ってあげてくださいね。
できるようになるまで、子供は何度でも何度でも飽きるまでおしごとをやりつづけます。
満足して「もうおしまいにする。」と言ったら、それが能力獲得のサイン。
さあ、あなたもモンテッソーリを利用して子供の成長を楽しみましょう。